咬合再構成

咬合診査

咬合(噛み合わせ)を診断するためには、簡易的には、メタルストリップス、咬合紙、デンタルフロスを使用します。

フェースボウ

咬合診査の結果に基づいて、書面にて咬合再構成の提案を行い、ご承諾が得られましたならば、ワックスアップ模型を作製し、最終補綴の形を説明させていただくこととなります。

補綴診療においても、人工歯を装着するはるか前の歯を削る前に、最終補綴形態咬合形態を咬合器上で構築すること、また、矯正治療においても小臼歯の便宜抜歯を行う以前に矯正装置を装着する以前に、最終的歯並びを分割模型で作成することは、心ある臨床医にとって必須のプロセスです。インプラント手術を伴う欠損補綴の最終ゴールの人工歯の形態と咬合再構築をインプラント埋入手術の3次元的方向性を考慮する際の埋入手術前の熟考と埋入手術中の即時の判断決定の材料としているか否かが問われます。診断用模型・ホワイトワックスによる最終補綴形態作成、このモックアップの作成、CT撮影のための診断用ステントの作成、手術用ステントの作成、その後のプロビジョナル(仮歯)作成の過程が、咬合、審美、清掃性、発音、予後などに関与するであろうことは想像に難くありません。

咬合再構成ワックス模型

このように、ワックス模型にて、最終的な補綴治療を歯を削る前、歯を抜く前、インプラントを入れる前に、提案することが可能です。

もっとも精度の高いKAVOプローター咬合器上では、噛み合わせのチェックが高い精度で可能です。

咬合再構成 インプラントのため ワックス模型 上前歯の咬合面(かみ合わせの面)
インプラント ワックス模型 下あごの咬合面(かみ合わせの面)
ワックス模型右 上下あごを噛んだ状態 右側方
ワックス模型左 上下あごを噛んだ状態 左側方
ワックス模型舌側 上下あごを噛んだ状態を裏から見ることは生体ではできませんが、咬合器上では、可能です。

 

歯牙喪失部位のみの補綴治療では、すなわち歯牙喪失の直前の残存歯牙の病的状況を温存するままでは、インプラントによる人工歯の見掛け上の復元ができても、早期に残存歯およびインプラントの歯周病の問題、対合歯も含めた咬合の問題を惹起することが危惧されます。よって、咬合診査の結果に基づいて、一部の局所的補綴をもってしても長期安定が望めないか、歯牙喪失の範囲が大きいか、残存歯の状況が放置するに忍び難いほどに深刻であれば、全顎的に、咬合を理想咬合に近い安定した咬合に再構築する必要性があります。しかしながら、この咬合再構成の過程は、歯科医師及び歯科技工士に十分な知識・経験・技術・連携を要求するのも事実であり、マーケットの中でほんの僅かな歯科医が日常的に行う診療行為と考えられます。

臼歯部の咬合喪失による前歯部崩壊
 

良く拝見しますのは、左右臼歯部の咬み合わせを喪失している方が、前歯をきれい丈夫にに治してくださいと希望されることがあります。患者さまは、素人でありますから、一番目立つ前歯のみが気になることはきわめて当然であります。しかし、残念ながら、この前歯のみを見掛け上治しても、左右の臼歯部の咬み合わせを確保しなければ、前歯は早期に崩壊してしまいます。いや、そもそも左右の臼歯部の咬み合わせが崩壊したからこそ、前歯部位のみに負担が掛かり問題を惹起したと考えるべきです。この様な、口腔のそれぞれの歯の役割については、活字を羅列することよりも、個々の患者さまの診断模型に基づいたワックスアップ模型を提示して説明させていただく必要があります。

歯周初期治療

虫歯治療

保存不可能な歯の抜歯 atraumatic tooth extraction

インプラント手術

のちに、複数のプロビジョナルの装着

全顎補綴01

インプラントとセラモメタルクラウンによる咬合再構成 正面像

外科手術・プレパレーション:小林昭彦

補綴作製:川崎従道氏

フルマウスリコンストラクション上 咬合面スクリューと口蓋面スクリューのセラモメタルクラウンを含んだ補綴。
咬合再構成下 下あご

 

2009.09.18更新しました。